毎日、たくさんの服薬指導をしているが、これが実際、治療の成果に繋がっているのか?と、いまいち実感がもてずに業務をこなしている薬剤師はいませんか?調剤薬局の薬剤師でも、患者のために他の医療従事者と一緒に治療に貢献できる手段として、トレーシングレポートがあります!これは、疑義照会するほど緊急性はないが、医療機関に伝えておきたいときに書く服薬情報提供書のことです。 このトレーシングレポートは、医療機関と薬局の間で患者の情報を共有し、医薬品の適正使用を推進するため、診療報酬の「服薬情報提供料」として算定することができますので、今回は「治療に貢献できるトレーシングレポート」の書き方をお教えしましょう!
トレーシングレポートは自由に書いていいの?
医師会や大規模病院やクリニック、さらには、化学療法を行っている医療機関のホームページには、トレーシングレポートの雛形が載っており、一般公開もされています。薬局から初めてトレーシングレポートを送る場合、あらかじめ医療機関へ問い合わせをし、どのようにして情報提供をしてよいか確認しておきましょう。多くの場合、薬局からのトレーシングレポートは、医療機関の薬剤部が窓口となり、それぞれの処方医に渡る場合が多いです。また、ひとつに雛形と言っても、医療機関は疾患・内服薬によって欲しい情報が異なりますので、自分がトレーシングレポートを作成する前に、処方元の医療機関のホームページを確認し、どのような内容を情報提供すべきか調べてみましょう。また、様々な医療機関の雛形を閲覧すると、医療機関側が欲しい情報の内容を学ぶことができますよ。
ハードルは決して高くない!
「トレーシングレポートの作成はハードルが高いな」と考えている人はいませんか?基本的にフォローアップが必要な患者の情報を書けばよいのです。では、フォローアップが必要な患者とはどの様な人の事を言うのでしょうか。次に挙げるような患者を、今までに指導したことがあると思います。その患者のどのような情報を提供できるか、ヒントをまとめてみましたので参考にしてみて下さい。
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残薬調整が必要な患者 |
| ・ 処方変更により残薬が生じてしまった残薬、入院していたため使用していない残薬があるので処方日数の変更の提案など |
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ポリファーマシー対策の必要性がある患者 |
| ・ 他院他科からの処方薬の情報共有、減薬の可能性の提案など |
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服薬コンプライアンス不良の患者 |
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・ 薬剤使用の長期継続が必要な患者への治療効果の向上を目的とした指導・改善点の報告 ・ 一人暮らし・昼夜逆転生活による治療中断の予防対策の提案や相談 ・ 一包化に伴う剤形変更の提案など |
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認知度の情報共有が必要な患者 |
| ・ 患者の指導内容の理解度の情報共有、高齢者や障害者の認知レベルに合わせた内服方法や剤形の提案など |
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長期処方の患者 |
| ・ レフィル処方により経過を追い、指導介入を行ったときの副作用等の状況を報告など |
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副作用に注意すべき薬剤を使用している患者 |
| ・ ハイリスク薬での治療や化学療法中の患者にしばらく血液検査等の検査実施がされていない場合の検査の依頼など |
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手技が必要となる薬剤が処方された患者 |
| ・ 注射剤や吸入薬の手技を指導し、手先の動きや吸気に問題がある患者への改善点、指導計画など |
1ランク上のレポートに挑戦
ここで注意すべきポイントは、患者の様子をただ報告するだけではトレーシングレポートはただの伝書鳩となるだけです。実態を改善し治療効果を上げるには、「治療に大きく関係しそうな情報や検討してほしい事柄」を次回の診察までに処方医の耳に入れておきたいものです。しかしながら、医師は、多くの外来患者の診療の他に入院患者の診察・手術・カンファレンス・急変対応などで忙しく、ゆっくりトレーシングレポートを読み込む時間はありませんので、短時間で的確な情報が得られる資料にする必要があります。 また、思わず読みたくなるトレーシングレポートが書けるようになれば処方医に情報が届きやすくなりますので、どのようにすれば読みたくなるトレーシングレポートが書けるのか、そのポイントと注意点をお教えします。

トレーシングレポートの内容を15文字程度にまとめて、メールの件名のように題名(概要)をつけたり、重要部に下線を引いたりすると、文章を読むに当たり読者側は頭の中の整理がつき読みやすいですよね。内容については、「誰が誰に何をした」「誰が誰に何をしてほしい」のかを分かりやすく、主語述語を明確にすることは基本ですが、詳しく説明しようと意識し過ぎて回りくどい言い方ならないように気を付けましょう。対して、SOAPやSBARに慣れている人は内容が簡潔になりすぎる傾向がありますので、薬剤師としてどう行動したのか、そしてどうなったのか、相手にどうしてほしいのかが伝わる内容を心掛けてみてください。 さらに、薬剤の治療効果や有害事象については、薬剤師の考えだけではなくエビデンスも重視する医師が多いです。要点がまとまった参考になる資料を添付できるといいですね。その際は、情報元を明確に記載することをお忘れなく。 トレーシングレポートには、情報提供するにあたり、患者の同意を得ているかのチェック項目がある場合もあります。トレーシングレポートを作成する際、必ずしも同意を得ていなければいけないという訳ではないですが、情報提供以前に患者と薬剤師との信頼関係が良好であるかも、治療していく上で重要となっていきます。患者に「寄り添い共に治療していきましょう」という心がけを見せることができれば、自ずとフォローアップが必要な事柄も浮かび上がってきますよ。そして、患者の同意を得て情報提供しているとわかれば、医師の薬剤師に対しての信頼度も上がってくることでしょう。
チームで患者中心の医療を
トレーシングレポートを送った後、処方医がちゃんとレポートに目を通してくれたかどうか気になりますよね。返信の文章までもらえないにしても、「見ました」というサインやチェックをする欄を設けると、一方通行にならずにトレーシングレポートがコミュニケーションツールの1つとして活きてきます。そして、私が病院薬剤師時代によくあったのが、患者ID欄に薬局で使用しているIDを記載している薬剤師が多くみられました。トレーシングレポートのIDは、医療機関にて患者のカルテを探すときに使用しますので、医療機関の職員がスムーズに業務ができるようIDを明記してくださいね。もしわからなければ生年月日は必ず記載しましょう。 レフィル処方の導入、在宅医療への薬剤師の介入によって、患者からの情報を聞き取る機会や必要性が以前より増えてきています。「ノルマや算定のためのトレーシングレポートの作成」や、「患者の粗探しを目的とした服薬指導」という考えでは、薬剤師として治療への貢献は難しくなりますので、1枚1枚誰のためのトレーシングレポートであるかを考えながら、自分のペースで大切にトレーシングレポートを作成してみましょう。