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薬に限らない、セルフメディケーションで健康サポート<株式会社田多井薬局>

長野県松本市内に4店舗を展開し、調剤に加えOTC医薬品の販売や漢方にも力を入れている株式会社田多井薬局。各店舗は全て違うタイプの薬局で、本店は駅前の商店街に位置する店舗、こみや店は郊外型、南松本店はインストア型、いでがわ店は門前の店舗です。創業から100年以上、地域住民の健康をサポートしてきました。「最大よりも最良の薬局たらん」との想いで薬局経営に取り組む田多井氏に、お話を伺いました。

 株式会社田多井薬局 代表取締役社長
 田多井 健介(たたい けんすけ)氏

 昭和薬科大学薬学部を卒業後、
 有限会社藤本商店藤本薬局にて2年間修業。
 結婚を機に松本市へ戻り、株式会社田多井薬局に入社。
 2016年に代表取締役社長に就任。

「薬に頼らない」セルフメディケーションの精神

有限会社藤本商店藤本薬局で働いていた際に学んだという、セルフメディケーションの精神。セルフメディケーションとは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義され、市販薬を利用し医療機関を受診せずに自分の力で治すことで医療費の軽減ができるといわれています。

田多井氏「一般的には風邪薬や頭痛薬を売るというイメージを持たれることが多いですが、本来は患者さんの健康を維持し、病気にならないようにするためにアドバイスすることがセルフメディケーションなんです。」

薬を売ることではなく、患者さん自身に日頃から健康を意識してもらうことが田多井氏の考えるセルフメディケーションです。薬に病気を治してもらうのではなく自分自身で治すという意識を持つことは、これからの高齢化社会において大切な考え方です。この「セルフメディケーションの精神」はずっと田多井氏の根幹にあり、服薬指導の際には薬の説明だけでなく、その患者さんに本当に必要なものは何かを考えているといいます。

田多井氏「必ずしも薬で解決しなくていいんです。運動や食事、入浴、睡眠の取り方で改善できることもあります。薬剤師は薬を渡す係の人ではなく、どうすればこの人が薬を飲まなくてよくなるかを導く存在にならなければいけないんです。」

糖尿病などは治らない病気と言われていますが、患者さんの努力次第で改善することはできます。その方法を伝えてあげることが薬剤師の使命だといいます。最近では診療報酬に「調剤後薬剤管理指導加算」が追加され、糖尿病患者に対する調剤後のフォローアップで点数がもらえるようになりましたが、以前から同じような患者フォローを実施していたそうです。これからの時代、今まで以上に患者さんに寄り添ったサービスが求められる薬局ですが、田多井薬局では長年に渡って実践してきました。薬局の経営においては売上を重視するのではなく、健康相談や生活習慣の指導を大切にし、地域医療に貢献できる薬局を目指してきたといいます。

”通い続けてもらえる”薬局。ショッピングモールでのOTC販売が今に繋がる

2015年に閉業したカタクラモールというショッピングモール(現在のイオンモール松本)に、インストア型の田多井薬局カタクラモール店がありました。県内で唯一、薬局という形態で処方箋応需の売上よりOTCの売上が多い店舗として有名でした(当時)。カタクラモールの閉業とともに薬局も閉店しましたが、その後も多くのお客様が田多井薬局にOTC医薬品を買いにくるきっかけとなりました。カタクラモール店のスタッフが積極的に商品のことを勉強し、丁寧に説明することで、患者さん自身が納得して購入でき、リピートに繋がったといいます。

田多井氏「儲かるから売りつけるのではなく、ちゃんと患者さんの話を聞いてセルフメディケーションを実施していたのがカタクラモール店でした。普通は、風邪が治れば風邪薬などは要らなくなるので薬局には用がなくなりますが、保健薬やサプリメントが必要なお客様は『足りないものを補う』という目的を説明し、丁寧に対応することで、定期的にお買い物に来てくださるようになります。ずっと通い続けてもらえるような薬局、今後もそういう薬局を目指していきたいですね。」

 

近隣店舗の南松本田多井薬局:こちらの店舗でも数多くの商品を取り揃えています。

どんな依頼も「断らない」患者本位の薬局

過去には地域貢献活動やボランティア活動に積極的に参加していたという田多井氏。昔からどんな依頼に対しても「断らないこと」を心がけてきたといいます。薬局は「人の不幸が飯のタネ」になる因果な商売ゆえに、常に「献身」を心掛けています。そういった姿勢が評価され、松本市の薬物乱用防止啓発運動の委員長に選ばれたこともありました。

何でも引き受けるという姿勢は薬局の経営でも活かされています。他の薬局が閉まっている時間帯にも営業を行い、あらゆる処方箋を受け付けています。土曜日の午後はお休みの薬局が多く薬を受け取れずに困っている、という話を昔からよく耳にしていたそうです。そのため、いでがわ店では門前のクリニックがお休みの土曜日も15〜18時まで営業しており、一定の需要があることを実感しているとのことです。

働く環境:効率よく、メリハリをつけて働ける職場

1日の業務の流れ(いでがわ店の場合)

9:00~12:00 (開局前に、掃除や仕入れ作業を行う)
保険調剤、医薬品販売、在宅など
12:00~13:00 お昼休憩(交代制で1人ずつ)
※自宅が近い人は一度帰宅することも可能。
13:00~18:00 保険調剤、医薬品販売、仕入れ、在宅など
※土曜日は15:00~18:00のみ営業

※店舗によって開局時間が異なります。
・本店   9:00~19:00、9:00~14:00(土曜)
・南松本店 9:30~20:00
・こみや店 9:00~18:00

田多井薬局のスタッフは地元の方がほとんどで、在籍期間が10~20年近くと長く働いている方も多くいます。基本的には店舗ごとのやり方に任せており、「患者さんのためになることならやっていい」という判断基準を設けているそうです。

特徴は、メリハリをつけて働ける職場であること。力を抜くところは抜いて、患者さんが来たらしっかりと対応するという意識で働いています。また、年間休日が124日ありお休みも取りやすい環境です。子育て中など、働く時間を選びたい人にはピッタリな職場だといいます。

歴史ある薬局だからこそ、最新機器を取り入れて効率よく

設備については全店舗で自動分包機、マイナンバーカードリーダーを導入しています。電子薬歴も5年前にいでがわ店を開局したタイミングで全店舗に導入しました。当時、県内でも最新システムの電子薬歴を導入。高齢のスタッフも多く、かえって時間がかかるのではないかと懸念したそうですが、今では皆さん使いこなしているとのことです。効率的に業務ができるようになり、服薬指導など患者対応により多くの時間をかけることができています。今後は監査システムの導入も検討しており、最新技術を活用しながら業務の改善を行い続けています。

採用のポイント:”きく”力を発揮できるか。経験よりも働く姿勢を評価

面接時に見ているポイントのひとつは、コミュニケーション能力。特に「聴く能力」を活かして働けるかを重視しています。セルフメディケーションを実施してもらうためには、会話の中から病気や不調の原因を探り当てる事が重要です。話し上手でなくても、きちんと患者さんの話を聞き、必要な情報を引き出せる人の方が評価が高いとのことです。また、自分のルールや前職のやり方に固執せず、行動する前に確認する「聞く」、意見やアドバイスを受けた場合なども素直に「聞く」などの意味での「聞く能力」も含んでいます。

求める人物像は「堂々と対応ができる人」。薬局には色々な患者さんが来るため、怖そうな人が来てもそういった人を気持ち良くさせてくれるような対応ができる人が理想だといいます。薬局に限ったことではないですが、どんな人に対しても動じずに仕事モードで対応できることは、社会人として大事な要素です。

調剤未経験の方でも、長く働き徐々に業務を覚えてもらえればよいそうで、あらゆる研修が受けられる環境を整えています。経験が浅い方は、長野県薬剤師会もしくは松本薬剤師会の会員薬局の研修制度を利用できます。正社員の場合は、費用は会社負担で松本薬剤師会の会員になっていただいており、松本薬剤師会の多くの研修を無料で受講できます。パートの場合や他の外部研修は会社が研修費用を負担しています。

薬剤師だからできることを。最良の薬局を一緒につくっていきたい

昨今、業務のICT化が進み、薬剤師の役割は変化しつつあります。ただ薬を作って渡す職業ではなく、その患者さんにとって本当に必要なことを理解し、情報を正確に与えることが薬剤師の仕事だといいます。

田多井氏「薬を作ること自体は薬剤師じゃなくて、調剤補助者やロボットなどがやってもいいんです。それよりも服薬指導でちゃんと患者さんに情報を伝えて、患者さんのアドヒアランスを上げてくれるような説明や指導ができる人がいいですね。
田多井薬局の企業理念は『最大よりも最良の薬局たらん』です。今のところ店舗展開は考えていなくて、来てくれる患者さんがこの薬局に来てよかったと言ってもらえるような薬局でありたいと考えています。最良の薬局を一緒に作り上げてくれる人、そんな想いを持った人を採用したいですね。」

どちらかといえば応募者に選んでもらえる薬局になりたい、と話す田多井氏。これまでもブランクが長い人や薬剤師経験がほとんどない人も受け入れてきました。経験がなくても田多井薬局の理念に共感し、ここで働きたいと思ってくれる人を採用しています。

最後に今後の事業展開について聞いてみました。

田多井氏「今考えていることは『できることを精一杯コツコツと』ですね。現在、本店で実施しているスキンケア部門は調剤・OTCと並ぶ大きな柱となっています。お肌のお手入れもセルフメディケーションの1つで、その人に1番合ったスキンケア方法をアドバイスするんです。石鹸や化粧品を売ることもありますが、患者さん自身でお手入れができるようサポートすることが目的です。お手入れに来た人が今度は処方箋を持ってくることや、その逆もありますね。引き続きスキンケア部門には力を入れていきたいと考えています。」

薬を売るという薬局の固定概念に捉われず、地域の人々の要望があれば医療に関わるなんらかの形で実現していきたいと語っていました。

コンサルタントの目線

ファーマキャリアコンサルタントの江藤です。
株式会社田多井薬局は長野県松本市内に4店舗展開している薬局で、OTC医薬品や漢方も多数取り揃えています。今回は2018年に開局した、いでがわ田多井薬局でお話を伺いました。店内は小規模ながらも様々な商品が販売されており、取材中にもOTC医薬品を購入しに患者さんがいらっしゃいました。帰りに近隣店舗の南松本田多井薬局も見学し、取り扱い商品の多さに驚きました。

代表取締役社長の田多井健介氏は、家族経営のため生まれた時から薬局の経営を任される立場であり、プレッシャーもあったそうです。企業理念である「最大よりも最良の薬局たらん」を実現すべく、セルフメディケーションの精神を掲げて、まさに理念通りの経営をなさっていると感じました。薬を扱う職業でありながら、薬を飲まなくても良くなるように導くという考え方は新鮮で、印象に残っています。もっと患者さんに寄り添った業務をしたいと考えている方にぴったりな職場だと思います。

面接時には「何か一つでも得意なことがあるか」を質問しているそうです。例えば、いでがわ店は門前が整形外科・リハビリテーション科のため、スポーツ経験のある薬剤師はその経験を活かせるでしょう。体の動かし方についての話や、自身の怪我の経験を元にしたアドバイスなどが考えられます。得意な分野から患者さんとの会話が弾み、距離を縮められることもあります。漢方やスキンケア部門もあるため、そういった分野が得意な方も、面接時にぜひアピールしてみてください。
応募者に選んでもらう薬局になりたいという田多井氏。興味を持った方はぜひ一度面接に行き、実際にお話を伺ってみてはいかがでしょうか。

株式会社田多井薬局のデータ

● 株式会社田多井薬局
● 本店所在地 〒390-0811 長野県松本市中央1-19-18
● 創立年 1912年
● 店舗 田多井薬局 本店、南松本田多井薬局、こみや田多井薬局、いでがわ田多井薬局
● 従業員数 33名
● 平均年齢 49歳
● 男女比 3 : 7
● 採用実績校 東京理科大学、東京薬科大学、明治薬科大学、昭和薬科大学、新潟薬科大学など
(2023年2月現在)

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