カルバペネム系抗菌薬耐性菌の増殖を止める化学物質を発見 名古屋大

耐性菌がカルバペネム系抗菌薬を効かなくする際に産生するタンパク質の働きを止める化学物質を、名古屋大学の荒川宜親名誉教授の研究グループが発見しました。
カルバペネム系抗菌薬と共に、この化学物質を作用させると、耐性菌の増殖が止まることが確認できたとのことです。
カルバペネム系抗菌薬は他の抗菌薬が効かない際に最後の切り札として使われてきましたが、近年カルバペネム系も効かない耐性菌が広がり深刻な問題となっています。
また、抗菌薬の開発は有効な化学物質が見つからず20年以上滞っています。研究グループは、化学物質をさらに改良し、新たな抗菌薬の開発につなげたいとしています。

参考: 薬が効きにくい耐性菌の働き止める化学物質を発見 名古屋大(2020/6/27 NHK NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200627/k10012485691000.html

 

カルバペネム系抗菌薬は広域スペクトルを有するため、記事にもある通り、最後の切り札として使われてきました。製剤としてはオラペネム(一般名:テビペネムピボキシル)のみ散剤ですが、他のチエナム(イミペネム水和物・シラスタチンナトリウム)、カルベニン(パニペネム・ベタミプロン)、メロペン(メロペネム水和物)、オメガシン(ビアペネム)、フィニバックス(ドリペネム水和物)は注射剤です。
抗菌薬の汎用により、多くの人が救われてきたのも確かです。しかし、それに伴う耐性菌の出現により有効な治療手段がなく死亡する方が、我が国でも年間8,000人を超えています。
2050年には薬剤耐性菌による死者ががんによる死亡者数を超えるとの警告を国連も発表しました。
今回のように耐性菌の耐性を無効化できる化学物質の開発が進めば、この予測を覆すことが可能になるかもしれません。今後の耐性菌の研究に注目していくとともに、抗菌薬の使用のあり方について、今一度考えていきたいと思いました。

参考: 自粛生活は“薬がない”未来の疑似体験!?薬剤耐性菌で新型コロナと同じ状況に
(2020/06/26 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院、AMR臨床リファレンスセンター)
https://www.atpress.ne.jp/news/216959

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国立大学薬学部卒業。調剤薬局にて正社員、派遣の勤務を経て出産。現在は子育てをしながらパート勤務中のママ薬剤師です。

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