管理薬剤師が不在の日にインシデントが発覚!どう対応すべき?

薬剤師は誰しもインシデント(調剤ミス)を恐れていると思いますが、どんなに気を付けていてもミスは起こってしまうもの。患者さんに薬を渡す前に気付けばよいですが、時には患者さんから連絡が来て発覚するなどというヒヤッとする経験をしたことがある方も多いと思います。

今回は、管理薬剤師が不在のタイミングでインシデントが発覚し、自分が急いで対応しなければいけない場面について解説します。決してレアケースではないので、インシデント対応をしたことがない薬剤師は、ぜひこれを読んで心の準備をしてください!

インシデントと調剤事故、調剤過誤との違い

本題に入る前に、まずは用語の確認をしておきましょう。「インシデント」とは、誤った調剤行為が実施される前に発覚、あるいは誤った調剤行為が実施されたものの、結果として健康被害を及ぼさなかったものを示し、調剤事故の手前の段階です。

薬局でのインシデントには、単純に調剤の間違いだけでなく、薬剤師の説明不足や指導の間違いなども含まれます。インシデントの中で、危うくヒヤリとした事例に関しては「ヒヤリ・ハット」として扱われることもあります。

ちなみに、インシデントにより健康被害が発生してしまった場合は「調剤事故」、事故の発生原因に薬剤師の過失がある場合は「調剤過誤」として扱われます。

調剤ミス疑いの連絡が来たら、まずは状況把握と時間の確保を

さて、それでは本題に入ります。ある日、患者さんのご家族から「薬袋に書いてある薬の量と実際に入っている数が合わない」という旨の電話があったとしましょう。これを聞いただけでも、心臓に冷水をかけられたような気持ちになりますよね。しかし、その患者さんが来たのは昨日で、あなたはお休みでした。薬を直接持ってきていただいた場合はすぐに内容を確認できますが、今回のように電話連絡の場合は、事実確認をしないと状況が掴めません。

焦る気持ちはわかりますが、ここですべきことは、まず1回謝ること。そして、詳しい状況を聞いた上で、少し時間をいただくことです。まれに患者さんの勘違いで...ということもありますが、ほとんどの場合、何らかのミスがあった可能性が高いです。

電話では、「大変申し訳ございません。すぐに確認いたしますので、お手元にあるお薬について、もう少し詳しく教えていただけますか?」と伝え、患者さんの訴えを把握したら、「ありがとうございます。大変恐れ入りますが、こちらで状況を確認しますので、折り返しご連絡する形でもよろしいでしょうか」と、一旦電話を切りましょう。

患者さんからの電話なので、くれぐれも長々と保留にして待たせることのないように。折り返し連絡にすることで、薬局側も冷静に状況確認する時間を作れます。

迅速な状況把握のあとは、届ける前提で話を進めよう

どんなに混んでいる時間帯でも、インシデント疑いへの対応は最優先です。確認すべき事項は、《1》処方箋と調剤録の照らし合わせ(入力ミスがないか)、《2》調剤、監査、投薬者のチェック(関わった薬剤師の把握)、《3》理論在庫と実際の在庫の照らし合わせ(数のミスならずれているはず)、《4》(分包の場合)分包機の印字履歴の確認など。手が空いているスタッフがいる場合は、これらの確認を手伝ってもらいましょう。

この段階で、たいていの場合いつどこで何をミスしたのか、大まかに把握できるはずです。主に関わった薬剤師が不在の場合は、連絡して話を聞くことも大切です。逆に、何も異常が見つからなかった場合は、患者さんの勘違いである可能性も考慮すべきでしょう。

状況確認が終わったら、すぐに患者さんに連絡し、ミスが確実な場合は「こちらでも確認しましたが、ご指摘のとおり間違いがありましたので、すぐに正しく作り直したお薬を持って伺います。大変申し訳ございません」と伝えましょう。

一方、ミスが明らかにならなかった場合も、「正しく調剤した薬を持っていくこと」を前提に話を進めたほうが無難です。状況に応じて、「ほかの袋に間違って入っていないか、今一度確認していただいてもよろしいですか?」などと伝えてみてもよいと思います。後から「見つかりました!」と連絡があるかもしれません。

インシデント対応のあとは、報告と対策を忘れずに

患者さんの家に訪問したら、まずは「この度は、ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした」と誠意を持って謝罪しましょう。そして、患者さんと一緒に薬の中身を確認し、持参した正しい内容の薬を渡します。この際、当初渡していた薬の回収を絶対に忘れないように気を付けてください。対応後は、薬歴にインシデントについて記載して、次回来局時には、その後の健康被害などがなかったかを確認できるとよいですね。

今回のように対応すれば、ほとんどのケースで問題なく解決すると思います。インシデント報告や、その後の対応については管理薬剤師やスタッフとよく話し合ってください。この際、誰がインシデントを起こしたかは重要ではありません。ミスが起きた状況をスタッフ間で共有し、再発を防止することが一番大切なことです。

  

社会人と言うもの、このように他人のミスを謝らなきゃいけない場面もあるでしょう。いつも、頭を下げてくれている管理薬剤師や上司には感謝ですね。こういった経験を糧に、ひと回り成長できる薬剤師になってください!

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この記事を書いた人

ユーザー pharmacist-horima の写真
365日開局の薬局薬剤師を経て、現在は編集者のかたわらでライターをしている。薬薬連携、多職種連携などに興味を持ち、メディア運営も担う。趣味はフルート演奏、ボードゲームなど。最近はあつまれどうぶつの森に時間を溶かされている。

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