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日薬が厚労省に要望書を提出 ~コロナ禍の薬剤師が伝えたいこと~

『薬剤師・薬局は、新型コロナウイルス感染症対策の一翼を担い、
患者・国民に必要な薬を届けます!』

と赤い字で基本理念を掲げることから始まる今回の要望書。[1]
しかしながら、理念を実現させるためにはいくつかの弊害があるため、4月30日に日本薬剤師会が「新型コロナウイルス感染症が薬局経営等に及ぼす影響に関する要望書」を加藤勝信厚生労働省大臣に提出しました。その内容は以下の8項目です。

  1. 薬局経営に対する財政支援
  2. 薬局スタッフ等に感染者が出た場合の薬局機能を維持するための仕組みの構築と支援
  3. 薬局のマスク・消毒液不足に対しての配慮
  4. 電話・オンライン診療から服薬指導に至るフローの周知
  5. 配送増加に伴うオンライン決済システムの導入と使用手数料の負担軽減
  6. 薬局勤務者が勤務継続する上で必要な社会環境の悪化を改善
  7. エビデンスの不確かな治療薬の情報流布による混乱を防止
  8. 医薬品供給の安定的な確保と薬価改定の延期

実際に現場では、様々な課題や不安が上がっています。ここからは、コロナ禍の医薬品提供体制確保のため、薬剤師自身や医療現場への影響が大きい要望内容についてみていきます。

コロナ禍で医療機関が経営危機!?

~要望1. 薬局経営に対する財政支援~

現在、医療機関への休業要請はなく、むしろ今必要とされている機関であり経営には影響がないイメージをお持ちではないでしょうか。ところが外出自粛を受け、処方日数の長期化により来局する患者数が減少、すなわち処方箋枚数の激減により薬局の収入源の一つである調剤技術料(調剤基本料、調剤料等)が減ってしまいました。それが意味するのは、薬局経営に大きく影響してくるということです。そこで、日薬は国に要望書を通して財政支援をお願いしたのです。実際に調剤薬局で働く薬剤師からは、今年のボーナスが出るのか、年収が減ってしまうのではないか、と不安な声も聞かれています。

オンライン服薬指導で感染拡大防止を!

~要望4. 電話・オンライン診療から服薬指導に至るフローの周知~

「0410対応」という2020年4月10日付で厚労省からオンライン服薬指導を可能とする一時的な緩和措置がとられました。[2]
新型コロナ感染症の重傷者を出さないためには、最低限、基礎疾患がある患者や産科の受診時や事務で積極的にかつ早急に患者全員に周知する必要があります。
薬局としては薬の配送や、オンライン服薬指導を突然対応してくれといわれ抵抗があるでしょう。ところが、今回の措置では最低限、処方箋を受け付けるFAX機と電話があれば実現は可能です。今回の「0410対応」において、知人の薬局を一例として紹介すると、薬を着払いで郵送し、患者が薬を受け取る際に調剤費用(お会計)+郵送料を郵便局員に支払う形をとっています。送料等の支援を行うと厚生労働省も支援事業の一つに盛り込んだので、「0410対応」の普及が加速していくことを期待したいです。

コロナ対応で乗り越えるべき問題

~要望2. 薬局スタッフ等に感染者が出た場合の薬局機能を維持するための仕組みの構築と支援~

今までの説明では今回の「0410対応」を行うにあたり、大きな支障がないように感じたかもしれませんが、やはり新しいことをするには多少なりとも問題はあります。「0140対応」では必要に応じて複数回指導を行い処方医へフィードバックしなくてはなりません。要するに、業務量が増える可能性があるということです。また、自身の感染や、感染者の濃厚接触者となることで薬剤師が自宅待機となり、人員が不足するケースも考えなければなりません。そこで必要となるのが、薬剤師の派遣体制です。

処方箋枚数減少などで薬剤師がどこで足りているのか、イレギュラー業務で薬剤師がどこで不足しているのかを自治体ごとに把握し、人材を調整し、どの薬局も機能維持できるようにする必要があります。フルタイムで働けなくても短時間でも派遣で働ける体制を、ハローワークに出向かずに、スマホ一つで就職まで完結できる薬剤師の人材を専門に扱う転職エージェントが主導になって体制を作るのも一つのアイデアだと思います。

~要望6. 薬局勤務者が勤務継続する上で必要な社会環境の悪化を改善~

また、薬剤師が働きたいが働けない理由に、医療従事者であっても医師と看護師以外の医療従事者の子供は受け入れない保育園や学童保育があることや、医療従事者に対して感染の疑いを持たれ子供の預け入れを拒否されるヘイト問題の発生があるということです。たとえ子供を受け入れてくれたとしても、自分が医療従事者であるがばかりに、友達がほとんどお休みの保育園に預けることに対し、我が子や職員に対して罪悪感を抱えながら働いている親がいるということも知ってもらいたいです。自治体は、医療従事者などの出勤せざるを得ない保護者に対する「配慮」を、「子供を受け入れるべき家庭の名簿リストを自治体から各認可施設へ配布」など、具体的に形にしていただきたいと子を持つ薬剤師として切に願います。

信じるべき情報はどこですか?

~要望7. エビデンスの不確かな治療薬の情報流布による混乱を防止

新型コロナ感染症は昨年末に発見されたばかりの感染症です。現時点では、国内初の治療薬としてアメリカのギリアド・サイエンシズ社の抗ウイルス薬「レムデシビル」が特例承認されましたが安定供給されるかという不安があり、まだ国内の医療現場は論文を書き上げる余裕もありません。しかしながら、どこの国の症例に基づいたかもわからない報道やSNSのうわさをもとに治療していては信憑性が低くて危険すぎます。実際に報道によって一部医薬品の品薄や、薬の適応外使用を患者が求めるといった事例が発生しています。そんななかでも感染症学会のHPには緊急的に全国から集った症例報告が閲覧でき、薬物治療についてまとめた資料も掲載されています。[3][4]

この資料は新たに重要な知見が出てきた段階で改訂されていくので、ぜひ参考にしたいものです。また、新型コロナウイルスに便乗したサプリや飲料物に関する悪質商法や詐欺事件も耳にします。犯罪に巻き込まれないよう、専門家会議で話合われていることを一般の人でもわかりやすい言葉で国がCMを制作するなど、正しい情報を発信し混乱を防止するべきです。

無知は差別や悲劇を引き起こします。ただでさえ目に見えない未知なるウイルスによって苦しめられている人たちに二次災害が起きぬよう、正しい情報が平等にみんなのもとへ届くことを祈ります。そして、今回の要望書を通して日本の未来を明るいものにしようと頑張っている医療の現場に、もっと多くの支援の必要性を感じました。

<参考文献>

[1]日本薬剤師会ホームページ「新型コロナウイルス感染症が薬局経営等に及ぼす影響に関する要望書」(最終閲覧日:2020年5月6日)https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/activities/20200430.pdf

[2]厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」 (最終閲覧日:2020年5月6日)https://www.mhlw.go.jp/content/000621316.pdf

[3]感染症学会ホームページ「症例報告」(最終閲覧日:2020年5月6日)http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31#case_reports

[4] 感染症学会ホームページ「COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第 2 版」(最終閲覧日:2020年5月6日)http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_200430.pdf

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