アトピー性皮膚炎の新薬「ネモリズマブ」治験で有効性を確認

中外製薬が創製した「ネモリズマブ」の臨床試験で、中程度から重度のアトピー性皮膚炎患者のかゆみ改善と安全性が確認されたと京都大大学院医学研究科のグループが発表しました。
ネモリズマブは神経細胞に結合することでかゆみを起こすと考えられているタンパク質の一種「インターロイキン31(IL31)」を標的にした抗体製剤で、IL31と神経細胞との結合を防ぐことで効果を表します。
外用剤で十分な治療効果を得られていない13歳以上のアトピー性皮膚炎患者計215人を対象に、ステロイド外用剤を併用しながら143人にネモリズマブを、72人に薬としての有効成分が入っていない偽薬を4週間ごとに皮下投与し、16週間後に有効性と安全性を調べました。その結果、偽薬の場合、かゆみの程度が平均21・4%軽減したのに対し、ネモリズマブでは平均42・8%の改善が見られました。さらに、ネモリズマブ投与群の半数以上でかゆみによる不眠症状の改善が見られたとしています。

参考: 重度のアトピー性皮膚炎の新薬「ネモリズマブ」有効性を確認 かゆみ軽減(SankeiBiz 2020/7/9) https://www.sankeibiz.jp/econome/news/200709/ecb2007090650001-n1.htm

先月アトピー性皮膚炎の新たな外用薬コレクチム軟膏が発売されましたが、さらにアトピー性皮膚炎の新薬に関する情報が発表されました。
ネモリズマブは4週間ごとに皮下注射するとのことで、剤型は注射剤となるようです。アトピー性皮膚炎の注射剤と言えばデュピクセントが2018年に発売されています。デュピクセントも抗体製剤であり、IL-4/13によるシグナル伝達を阻害し、アトピー性皮膚炎の病態に深く関与するTh2型炎症反応を抑えることで効果を表します。
アトピー性皮膚炎の治療はステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服が今までは一般的でしたが、薬を使用してもかゆみが続く患者さんも多かったと思います。選択肢に抗体医薬品が増えることで、今後アトピー治療が変わっていくかもしれません。
今後薬事承認を経て実用化を目指すとのことで、今後の報道にも注目していきたいと思います。

参考:デュピクセントの特性(デュピクセント SANOFI) https://www.dupixent.jp/property/01/

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国立大学薬学部卒業。調剤薬局にて正社員、派遣の勤務を経て出産。現在は子育てをしながらパート勤務中のママ薬剤師です。

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