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「職能」と「人との関係性」がチーム医療を成功に導く<JCHO新宿メディカルセンター>

2014年4月に、旧社会保険病院、旧厚生年金病院、旧船員保険病院の全57病院が統合して創設された「独立行政法人 地域医療機能推進機構(以下、JCHO)」。JCHOでは地域医療構想の実現のため、地域連携クリティカルパスの整備や、地域医療機関との連携などを推進する役割を担っています。今回は、「地域が創る病院、病院が創る地域」という理念を元に運営を行なっているJCHO新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)の薬剤部長 臺裕子先生にJCHO新宿メディカルセンターの特徴や採用についてお話を伺いました。

JCHO新宿メディカルセンターの特徴:
・地域医療支援病院として認定されている
・超急性期から緩和ケアまで対応
・初代院長である整形外科医の名倉先生の功績により整形外科の規模が大きく、理学療法士・作業療法士が50名以上在籍している
・前立腺癌におけるトータルケア(入院からリハビリまで)が可能
・側湾症の手術件数が多い(年64件)
・総合診療医育成のための「内科総合診療体制」を整備。臨床研修医の受け入れも実施している
・看護師向けの特定行為研修指定研修機関として認定されている

 

JCHO新宿メディカルセンター薬剤部部長 臺裕子氏

薬剤部部長 臺裕子氏

城西大学薬学部卒 埼玉社会保険病院(現JCHO埼玉メディカルセンター)入職。病棟薬剤業務等を経て、2014年より薬剤部長。
2017年JCHO山手メディカルセンター薬剤部長、2019年4月より現職。

 

全ての病棟に薬剤師が常駐。今後はルール化の強化を視野に

14病棟、520床を持つJCHO新宿メディカルセンターの外部処方箋率は92%。外来化学療法を受けている方や、事情がある患者さんなどに対しては院内処方を行なっています。当院はDPC対象病院であり、全病棟のうち11病棟は包括点数です。残り3病棟(緩和ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟)に関しては病棟薬剤業務実施加算が取れないものの、全ての病棟に薬剤師を常駐させています。
薬剤部として特に力を入れている点としては持参薬鑑別。実施率はほぼ100%だと言います。当院では、予定入院の患者さんの場合、入院の受付をした後、薬剤師が常駐するお薬カウンターで服用している薬についての問診を行います。その後、薬剤部内にて持参薬の鑑別を実施し、代替えの薬の手配などを行います。

臺先生「1日の入院患者数は30名〜40名。午前中は主に入院患者さんの受け入れを行なっているので、慌ただしい時間ですね。そして、他院では看護師が行っていることが多い配薬カートへの薬剤セットについては、全ての病棟において薬剤師が行なっています。個別対応も多くこれも薬剤部における特徴の一つなのですが、マンパワーがかかる所でもありますね。」

“医薬品の安全使用のための業務手順書”に基づき、誰が調剤をしても同じものができることは重要。しかし、医師や看護師からの個別の要望が多いことから、なかなかルール化ができない部分があり、今後の課題だと言います。

臺先生「昔から行ってきたことを今後はやらないということではなく、良い伝統は踏襲しつつ、誰もが同じ形でできるようにするためのルールやオペレーションを確立していきたいと考えています。」

少しの工夫で効率化。病棟業務の時間を増やす努力

昨今、医師の働き方改革が叫ばれており、医師の業務をコメディカルが負担する流れが確立しています。その分、コメディカルの業務負担が増えており、薬剤部としてはその中でいかに患者さんに関わる時間を増やすか、日々考える時間が増えてきています。
今年6月、電子カルテのバージョン変更のタイミングがありました。このタイミングで、処方箋にバーコードを入れ、処方箋情報を読み取ることで入力ミスや手間を省けるように業務改善を行い、麻薬管理を開始しました。また現在は、医薬品の在庫管理に関してもバーコードを取り入れることで入出庫の管理を簡単に行えるよう検討しているそうです。これにより、医薬品名を知らない薬剤助手でも在庫管理に関する一部の仕事ができるようになると言います。他の施設でも取り組まれていることですが、当院も少しずつではありますが進めています。

臺先生「少しでも多くの時間を病棟業務にあてていきたいので、どうしたら合理的に時間を使えるようになるのかをいつも考えています。残念ながら病院の中ではコメディカルの意見はなかなか通りません。だからこそ、タイミングを見計らって積極的に提案をする。それは患者さんのためになることでもあるからです。」

働く環境:必ず異動が伴う、実力主義の現場。地域とのつながりを重視

JCHOでは高輪にある本部で一括採用され、試験合格者は成績上位順に配属先が決まります。配属先は家庭の事情なども考慮されますが、キャリアアップのためには基本的に異動が伴います。当院の場合は東日本地区20病院の中での異動が行われます。

※上記モデルはあくまでも目安です。

新卒採用の場合、入局後3ヵ月から半年は調剤や製剤、医薬品の管理を行い、その中で少しずつ服薬指導などを行います。10月からは抗がん剤無菌調整が始まり、1月には病棟薬剤業務にかかわっていきます。3年目以降は学会への参加が始まり、7年目から12年目の間に初めての異動を経験します。
中途採用の場合は、個人の経験などを考慮しキャリアアップも含めた異動が考慮されます。基本的に副薬剤部長や薬剤部長へのキャリアアップは同じ病院内ではせず、キャリアアップの際は別の病院に異動する必要があるため、実力主義の環境となっています。
異動が伴う理由には、薬剤師の資質として「柔軟性」を問われているからです。物事を俯瞰で見ることができるか、自分と相手の意見が異なった時に、どのように対処するか。これは、薬剤師はもちろんのこと、管理職となる上で大切な要素です。この視点を磨くためにも異動が行われています。
当院の場合、管理職を目指す以外には、がん専門薬剤師や糖尿病療養指導士などの資格を取得する人が多くいます。面談でキャリアの希望についてヒアリングを行い、なるべく多くの症例数に触れることができるように配属先を考慮しているそうです。一方で資格の取得だけでは意味がないと臺先生は言います。

臺先生「資格を取得すれば良いわけではありません。同じように病棟業務ができれば良いというわけでもありません。まず薬剤師としてベースの部分がきちんとできるようになることが大切です。その上で、資格の取得や病棟業務をできるように知識や技術を磨く必要があります。例えば、一つの病棟に4年いたとしても、まだまだ補うべき知識はたくさんあります。そういったことを理解した上で、キャリアアップをして欲しいと願っています。」

<1日の業務の流れ>

8:30~8:35 朝礼
8:35~12:00 抗がん剤調整2〜3名、注射調剤3名、入院・外来調剤(約20名のうち病棟業務にあたれるものもあり)
12:00~14:00 昼食(交代/部制)
14:00~17:15 注射調剤3名、入院・外来調剤(約20名のうち病棟業務にあたれるものもあり。病棟業務時間約2〜3時間程度) )

教育制度としては、当院では外部と連携した研修会が盛んに行われています。新宿区にはJCHO新宿メディカルセンターを筆頭に7つの病院が存在します。病院や薬局同士の連携を深めるために7病院と地域の調剤薬局で新宿区連携薬剤師協議会を作り、フォーミュラリー研修や災害対策(DMAT)研修などを行っています。もちろん院内でも災害対策研修をはじめ、糖尿病療養チームによる勉強会や感染対策チームによるノロウイルス対策勉強会など様々な研修が日々開催されています。

採用のポイント:薬剤師の前に“社会人”であること。医師の代わりではなく、薬剤師としての存在価値を高める

面接の際には、今後の目標や志望理由など基本的な質問項目のほかに「JCHOの理念がわかった上で仕事ができるか」「必ず異動が伴うが了承できるか」「なぜJCHOで働きたいと考えているのか」などについて聞いています。
また、面接の中で特に重視しているのは、言葉遣いや態度などにおいて、社会人としての意識を持ち合わせているかどうかです。それは、薬剤師の仕事はチーム医療においても、患者さんの対応においても「人」を介してする仕事だからだと言います。これは、新卒採用はもちろん、中途採用でも同様。医療人の前にまずは社会人であることを理解しているのかを見ています。そのほかにも重視している点があります。それは「薬剤師」という意識を持った上で臨床にあたれるかです。
以前、病院薬剤師はいかに早く患者さんに薬を出せるかばかり重視されていましたが、平成以降は、薬剤師として求められるものが変わりました。1994年に100点業務として薬剤管理指導が算定されるようになってから、対人業務に比重を置くことが重視されるようになり、今では病棟に薬剤師が常駐することが当たり前になっています。

臺先生「チーム医療で仕事を進めていく以上は、薬剤師が誰かの代わりを務めるのではありません。自分の専門分野で貢献することが大切。医師や看護師の役に立ち、患者さんのために貢献することが薬剤師としてのあるべき姿だと思います。」

今後は業務の効率化に注力。調剤業務と病棟業務、全てできる薬剤師を育成する

現在、全国の病院の中で設備が十分に揃っている病院というのはほとんど存在しません。しかし、限られた設備の中で、病院薬剤師としての責務を果たす必要があります。

臺先生「今ある環境でいかに合理的に仕事をするか。仕組み作りや運用についてより一層考えていきたいと思います。」

 その他に力を入れていく分野としては「人材育成」だと言います。調剤業務も病棟業務も薬剤師にとってはどちらも重要な仕事です。優劣をつけるものではなく、両方できる人材を育てていきたいと考えているそうです。

臺先生「病棟業務をするといかに『気がきく』ということが重要なことなのかがわかります。それがチーム医療を成立させる要素となるのです。そのため、私としてはなるべく早い段階で、多くの経験を積ませてあげたいと考えています。一方で、目指すべきは調剤業務も病棟業務も全てできる薬剤師です。どのタイミングでどの経験を積ませるかについては、今後、より一層考えていく必要があります。」

コンサルタントの”目線”

ファーマキャリアコンサルタントの久島です。
JCHOは57病院の他に、介護老人保健施設や看護専門学校、居宅介護センターなど全200弱の施設を持つ機構です。当院は地域医療機能推進機構のため、救急患者の積極的な受け入れや、JCHO以外の病院への医療従事者の派遣など地域のための様々な施策を実施しています。そしてJCHOでは基本的に新卒採用でも中途採用でも、キャリアアップの際には必ず異動が伴うため、実力を磨きたいという方には最適な環境となっています。

今回、取材に応じていただいたのは埼玉メディカルセンターに入局した後、JCHO東京山手メディカルセンターへ異動し、2019年4月から当院に勤務をしている臺先生です。「病棟に薬剤師はいらない」と医師に言われる中で、薬剤師としての存在価値をどう高めるかを考え、道なき道を開拓してきた臺先生。病棟業務に勤しむ中で性格が大幅に変わったとおっしゃっていたことは大変印象的でした。また、ご自身が苦労したからこそ、若手にはその苦労はさせず、多くのチャンスをあげたいという姿勢には感銘を受けました。
そして臺先生がおっしゃる「薬剤師としてのあるべき姿」については、今一度考えていきたいと思いました。臨床ばかりに意識が向く、いわゆる“頭でっかち”にならないために何を心がけるべきか。それは、薬剤師としての存在価値を考える良いきっかけになるのではないでしょうか。

JCHO新宿メディカルセンターのデータ

●独立行政法人 地域医療機能推進機構 東京新宿メディカルセンター
●所在地  〒162-8543 東京都新宿区津久戸町5-1
●創立 昭和27年(平成26年より独立行政法人 地域医療機能推進機構に移行)
●病床数 520床
●従業員数 835人(薬剤師26人)
●平均年齢 37歳
●男女比 男性1:女性4
●採用実績校 慶應義塾大学、昭和薬科大学、帝京大学、帝京平成大学、東京薬科大学、星薬科大学、横浜薬科大学など

(2019年10月現在)