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〜こんな場面に遭遇!薬剤師体験談1〜英語で服薬指導!?その日は突然やってきた!

正直、私は英語が苦手でした。英語にあまり携わらない道をと思い、最終的に病院や薬局の薬剤師を選択しました。しかしそんな私のもとに、日本語が通じない外国人への服薬指導の依頼がきてしまったのです。さあどうしましょう!今回は病院に勤めていた時の体験談をお話しします。

ある日それは突然やってくる

私が病棟業務を任されて間もない頃、看護師さんから服薬指導の依頼がきました。患者さんの名前を聞いたところ、日本人の方ではないことがわかりました。日本語が話せる方なのか不安になったので、真っ先にカルテで確認すると、彼女はフィリピン人の英語教師。看護師の記録ではどうやら日本語が通じないらしい…
とはいえ、手術日は明日なので、術前内服の指導をするタイミングは今日しかありません!

英語での服薬指導の準備とは?

何から手を付けていいのか分からないまま、便利なツールがないかを調べるために「薬情 英語」と、すぐさまインターネット検索をしました。

すると、『おくすりのしおり(http://www.rad-ar.or.jp/siori/ )』というサイトを発見!
薬剤名を入れると日本語での薬情がでてくるのと同時に、英語訳された薬情も入手できるサイトでした。とりあえず英語版と日本語版を1部ずつプリントアウトしました。

とはいえ、この紙を渡して「読んでね。」終了。

これではとても薬剤管理指導料は取れないし、術前でナーバスになっている患者さんに対しては逆に不安を煽るだけです。
その時ふと、以前、製薬会社からもらった薬剤師実務手帳の中に「薬局ですぐ使える英会話・会話例」があったことを思い出しました。結果、この手帳のおかげで、薬情に英語で用法用量を記入することができました。

そして…

薬情・筆談用用紙・和英英和辞書を持っていざ出陣です!

実際の指導方法とは?準備は入念に

やはりまずは自己紹介からですよね。

私は、彼女が漢字を読めないことをわかっていながらも、名札を見せつつ「ハロー。マイネームイズ○○。アイム ファーマシスト。」からスタートしてみました。幸い穏やかな優しい方でこちらも落ち着いて指導ができたので、彼女に英語訳の薬情を渡し、自分は日本語の薬情を手にし、重要なポイントを簡単な英単語を使って読み上げ、説明を続けました。

その際、特に重要な所は赤ラインを引きながら説明したのですが、自分の頭も整理され、相手も今どこの説明をしているのか分かりやすかったです。

さて問題は副作用についての説明ですが、専門用語が多く、私の実力では不可能でした。とっさに思いついた手段は「プリーズ テルミー イフ ユー ディス」と言って副作用が記載されている部分を指さし、そこを読んでもらうことでした。

彼女は黙読し、笑顔で「OK。」

ふー、こうしてなんとか指導を乗り越えられたのです。
その時ふと、「言葉も分からない異国で手術ってどれだけ恐怖なんだろう。」と思い、流暢に話すことなんてできないのにも関わらず、心配になって思わず「アーユー ナーバス?」と聞いてしまっている自分がいました。すると「やっぱり怖い…でも海外にいる息子が来てくれるから大丈夫。」と笑顔で答えてくれたのです。

翌日、手術は成功。私は麻酔から覚めた彼女に挨拶をしました。日本語で「よかったね。手術終わったね。気分どう?」と言うと、彼女は麻酔で少し朦朧としつつも、笑顔で優しく手を握ってきました。言葉はなかったものの、私の顔を認識できているのと手を握ってくれたことから、概ね良好だということが伝わり、私はほっとしたのを覚えています。
その後、彼女は順調に回復し退院しましたが、翌年に再発し、また手術を行うことになりました。しかし彼女は「もう怖くない。先生を信じているし、あなたもいるから。」と言ってくれたのです。

メンタルフォローが大切。患者の不安を感じ取るべき

病院や薬局に勤めたから外国人と関わらなくて済むだなんて、なんと私の考えは甘かったのでしょう。近年、訪日外国人数は増加傾向にあり、その大半は、東・東南アジアからの訪日者です。必ずしも英語が通じるとは限りません。

「インド人の名前が長すぎて薬袋の名前の欄に入りきらないよ!」
「中国人の名前の見たことのない漢字はどうやってパソコンで漢字変換すればいいの?」

そんなパニックが職場で起こる前に、対応マニュアルや職員間での共通認識を再確認する必要がありそうです。
薬の正しい情報を伝えることが薬剤師として重要な仕事なのかもしれませんが、それに加えてすべきことは、異国の地でのトラブルで不安になっている外国人患者のメンタルフォローです。日本語が通じないからといって、こちらがビクビクしながら服薬指導するのではなく、片言でもいいから不安を聞きだし、相談役になることが大切です。そして、それが正しい服薬にも繋がってくるのだと経験を通して学びました。
最近では、電話による医療通訳を使用する方法もあります。また、石川県薬剤師会・東京都医師会のサイトにも外国人の服薬指導に有用なツールがありますので、便利なツールはどんどん有効活用し、その時に備えましょう。そして、「お・も・て・な・し」の心得を忘れずに!

参考:外国人医療に関する情報まとめ(東京都医師会)
https://www.tokyo.med.or.jp/inbound