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メマンチンにトラウマ記憶忘却作用、PTSDに改善効果

 

東京大学大学院農学生命科学研究科の喜田聡教授らのグループが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が認知症治療薬メマンチンで改善することをマウスの実験により明らかにしました。 実験では、小さなマウスに1日10分間、10日連続で周囲を威嚇する大きなマウスを近づけて恐怖体験を覚えさせ、PTSDの状態を作り出しました。その小さなマウスに、メマンチンを1週間毎に計4回投与すると大きなマウスを恐れなくなり、近寄るようになったとのことです。 この作用は、メマンチン投与により海馬神経新生が促進され、記憶の忘却が促されることによります。 この方法を用いれば震災発生時など一度に多くのPTSD患者の治療が必要なときにも、投薬のみで対応することができるので、一度に多くの患者を治療することが可能となります。 現在、メマンチンを用いた臨床試験も進んでおり、その成果が期待されます。

参考:トラウマ記憶忘却による簡便な心的外傷後ストレス障害(PTSD)改善方法の開発(2019/8/2 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部)
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/20190802-1.html

 

メマンチン(メマリー)は2011年認知症治療薬として承認され広く使用されていますが、PTSDにも効果があるとは驚きですね。

メマンチンの作用機序はアルツハイマー病のグルタミン酸仮説に基づきます。この仮説は神経伝達物質であるグルタミン酸が常に放出されることでNMDA受容体が過剰に活性化された状態になり、記憶・学習機能が障害されるとのことですが、メマンチンはこのNMDA受容体を阻害することで薬理効果を発揮します。

さらにメマンチンには、海馬神経新生を促進する作用があることが明らかになっています。この海馬神経亢進作用により、記憶(トラウマ)の忘却が促されるとのことです。

現在PTSDに有効な治療薬はなく、対症療法にて投薬が行われていました。持続エクスポージャー療法という認知行動療法も開発されていますが、医師と患者の繰り返しの面接が必要で負担が大きいことがデメリットとしてあげられていました。

現在臨床試験も進んでいるとのことで、近い将来メマンチンにPTSDの効能が追加される日がくるかもしれません。今後の研究報告にも注目していきたいですね。